本膳料理と懐石料理と会席料理の違い
本膳料理
本膳(飯、汁、香の物のついた膳)のついた料理を示しますが、室町時代に確立した
式正料理という儀式料理の一部であり、日本の冠婚葬祭などにおいて最も古い
正式の饗膳形式となっています。一汁三菜、一汁五菜などのいろいろな形式が
あります。式正料理では多いもので七の膳まであり、食べ方も複雑でした。
古くはこれを本膳料理といいましたが、現在では略式化されて袱紗料理
(本膳料理と会席料理の仲間)のことを本膳料理と呼ぶことが多いです。
会席料理
茶事を催す時、茶をふるまう前に供する食事のことをいいます。
主催者である亭主の手料理で、給仕も亭主が、行うのが原則。
千利休が唱えた侘び茶の精神によればあくまでもお茶を飲むことが
目的であるため料理は素朴で簡単なものを旨とし、
一汁三菜が基本。「南方録」元禄3年(1690)によれば、
一般にぜ禅宗の僧侶が、修行中温めた石を懐に抱いて寒さと空腹を
しのいだことから、飢えをしのぐ程度の粗末な食事という意味でそれを由来に
侘び茶の料理は懐石ともいわれています。
会席料理
会席とは本来、排席、つまり俳句の集まりのこと。1629年に京都二条寺町の
妙満寺で行ったものが始まりといわれています。初めは、会の終わりに酒が
少し出るだけであったが、江戸時代に入ると俳席も寺ではなく料亭で行なわれる
ようになりました。また、茶の湯における料理も会席と呼んでいました。
それが江戸時代半ばに格式ばらずに酒を飲みながら楽しめる料理を商売として出す
料理やが登場し、「会席料理」と看板をたてたので、茶人たちがその混同を嫌って
「懐石」という呼称を使い始めたといわれてています。現在では料理店や旅館などで
供される、献立となっている料理を呼んでいます。本膳料理や茶懐石のように、ご飯を
食べるための惣菜で構成される料理に対して、酒を飲むための酒采で構成される料理を
会席料理ということが多く、喰い切り形式(一品食べ終わるごとに次の料理を運び、
全部食べきってしまうという形式)と配膳形式(宴会料理でだいたいのものは
あらかじめ並べておき、温かいものだけは温かい状態で供するという形式)とがあります。